便器の中に大豆の粒を見つけたとき、多くの人が真っ先に懸念するのは「消化器官の重篤な異常」です。しかし、消化器内科の専門医らが指摘するように、これは大豆の種皮に含まれる「不溶性食物繊維(セルロース・ヘミセルロースなど)」が人間の消化酵素では分解できないという極めて自然な生理現象に起因しています。
人間の消化液(胃酸、胆汁、膵液など)には、食物繊維を直接分解する酵素が存在しません。そのため、厚い細胞壁で覆われた大豆の外皮は、胃や小腸をそのまま通過して大腸へと送られます。一見すると「大豆がそのまま出ている」ように見えても、実際には皮の内側にあるたんぱく質やビタミン、ミネラルなどの可食部はある程度分解・吸収され、中身が抜けた皮の袋に便のカスが詰まって粒状に見えているケースが珍しくありません。
ただし、完全に球体のまま、大豆の硬さを残して排泄されている場合は話が別です。これは「噛まないで飲み込む習慣」によって皮が破裂せず、胃酸や消化酵素が内部まで浸透できなかった証拠です。納豆は強い粘り気があるため、口の中で滑りが良くなり、咀嚼回数が極端に減った状態で飲み込まれやすい特徴を持ちます。中身の栄養まで丸ごと無駄にしないためには、一口あたり最低でも20回から30回の咀嚼を行い、物理的に細胞壁を破砕することが不可欠です。