スキャンダルによる休業という痛手を乗り越え、風吹ジュンさんが女優として劇的な復活を遂げた記念碑的作品が、1979年公開の角川映画『蘇える金狼』です。村川透監督、松田優作さん主演によるハードボイルドの金字塔において、風吹さんは主人公・朝倉哲也の愛人であり、過酷な運命に翻弄されるヒロイン役に抜擢されました。
アイドル時代の清潔感をかなぐり捨て、体当たりのヌードや狂気漂う緊迫したベッドシーン、そして凄惨なクライマックスに至るまで、全身全霊の演技を披露。主演の松田優作さんが放つ圧倒的な熱量に一歩も引けを取らず渡り合ったことで、映画関係者や批評家から絶賛を浴びました。「元アイドル」という色眼鏡を自らの表現力で完全に打ち砕き、本格派女優としての確固たる地位を確立した瞬間でした。
以降、風吹さんは数多くの名作ドラマや映画へと進出。『岸辺のアルバム』や『阿修羅のごとく』といった昭和の名作群から、後年のNHK連続テレビ小説、大河ドラマに至るまで、繊細な心情表現ができる実力派として輝かしい出演ドラマ経歴を築き上げていくことになります。