角界関係者が今もっとも注視しているのが、名門の命運を握るトップ人事の行方だ。師匠である元横綱・旭富士正也(伊勢ヶ濱親方)は、これまで数々の関取を育て上げ、一門のドンとして確固たる基盤を築いてきた。しかし、日本相撲協会が定める定年規程を見据える中で、部屋の舵取りを誰に託すのかという継承問題は避けて通れない現実となっている。
その後継者の本命として衆目が一致するのが、第73代横綱の照ノ富士春雄である。両膝の致命的な負傷や内臓疾患から奇跡的な復活を遂げ、土俵の内外で圧倒的なカリスマ性を発揮してきた横綱だ。関係者の証言によれば、稽古場における指導の主導権はすでに実質的な移行段階に入っているという。照ノ富士春雄が放つ一言には現役横綱の重みだけでなく、未来の師匠としての冷徹な観察眼が宿る。合併による大所帯化という未曾有の環境下で、いかに名門の伝統規律を保ち、力士一人ひとりのポテンシャルを引き出すか。指導者としての手腕は早くも試されている。