大相撲の本場所が開催される両国国技館や地方会場において、土俵を取り囲む最も低いフロアに敷かれた座席エリアを大相撲溜席(たまりせき)と呼ぶ。土俵の土俵溜まり(力士が控えている場所)のすぐ後ろに位置することから、古くより通称として「砂かぶり席」の名で親しまれてきた。
溜席は東西南北の4方向に配置され、国技館では土俵側から1列目から最長で8列目前後(会場構造により異なる)まで設置されている。土俵の踏み俵からの距離は最前列でわずか数十センチから1メートル程度。力士の足元に敷かれた砂かぶり席座布団の上に直に座るスタイルが伝統であり、パイプ椅子や背もたれ付きの座席は存在しない。
この砂かぶり席を理解する上で避けて通れないのが、「維持員席」と「一般発売席」という構造上の二面性だ。溜席の全席数が一般に広く販売されているわけではない。日本相撲協会の運営を財政面から長年支える「維持員(法人および個人)」に対し、多額の寄付(6年間で数百万円規模の維持費)の対価として優先的に割り振られる席が全体の過半数を占めている。江戸時代のタニマチ文化に起源を持つこの維持員席が土俵前列を取り囲んでおり、一般の相撲ファンが購入できる枠は後列を中心とした極めて限られた席数にとどまる。