過酷な試験を突破した後にも、知っておくべき重要な関門があります。それが「実務修習」です。試験に合格しただけでは鑑定士として登録できず、1年コースまたは2年コースの修習を経て修了考査に合格しなければなりません。
ここで大きな壁となるのが実務修習の費用負担です。講義や実地演習の受講料として総額100万円以上の自己負担が発生します。鑑定業者や大手信託銀行、デベロッパー等に就職して費用を全額または一部補助してもらうルートが一般的ですが、個人で受講する場合は金銭的な準備が欠かせません。
一方で、資格取得後のリターンは極めて手厚い水準を誇ります。不動産鑑定士の年収の現実を見ると、鑑定事務所勤務の若手で年収500万〜700万円、中堅以降や大手金融機関・コンサルティング会社では年収800万〜1,200万円以上に達する事例が一般的です。さらに独立開業した場合、公的評価(地価公示・都道府県地価調査・相続税路線価評価など)の受注基盤を固めることで、年収1,500万〜2,000万円を超えるプレイヤーも珍しくありません。
また、近年の不動産鑑定士の就職需要は高水準を維持しています。鑑定士全体の平均年齢が60歳前後と高齢化が進んでおり、若手・中堅の有資格者は引く手あまたの売り手市場です。AI技術の進展に伴う簡易査定の自動化が進む中でも、複雑な権利関係の整理や都市開発の大規模デューデリジェンスなど、高度な専門判断を伴う業務領域では人間の鑑定士に対する需要が強固に残っています。