昭和最後の7日間に起きた「翔子ちゃん誘拐殺人事件」は、警察組織にとって決して触れてはならない最大の禁忌だった。犯行の残虐さもさることながら、警察の致命的な失態によって身代金を奪われ、幼い命を救えなかった事実が組織の奥深くに封印されていたからだ。
わずか1週間で幕を閉じた「ロクヨン」の時代。その混乱の渦中で起きた悲劇は、地方県警(D県警)と中央の警察庁との間に深刻な亀裂を生んだ。時効成立が目前に迫る中、事件の再調査を巡って繰り広げられる内部抗争は、警察のメンツと保身がいかに個人の正義感を押しつぶしていくかを冷徹に描き出す。隠蔽された過ち、遺族の消えぬ絶望、そして土壇場で暴かれる衝撃の真相。それは、組織という魔物に抗う人間の凄絶な生き様そのものだ。