東京都大田区田園調布といえば、日本を代表する最高峰の住宅街である。そのなかでも一際存在感を放つのが、長嶋茂雄氏が長年生活の拠点としてきた邸宅だ。昭和の高度経済成長期、読売ジャイアンツで「4番・三塁手」として熱狂を生み出していた時代に構えられたこの家は、スター選手としての栄光を体現したようなスケール感を誇る。
広大な敷地内には重厚な構えの主屋が立ち、周囲は高い塀と青々と茂る庭木に守られている。プライバシーへの配慮が行き届いた構造でありながら、四季折々の表情を見せる樹木が通りかかる人々に落ち着きを与えてきた。かつてはペナントレース優勝時や監督就任時、連日のように報道陣が集まり、邸宅前が歓喜の渦に包まれた。昭和の熱狂を記憶する人々にとって、ここは単なる個人住宅を超えた「昭和スポーツの聖地」である。