近年の最先端ラウンジで際立っているのが、映画的リアリズムを彷彿とさせる緻密な空間デザインだ。映画監督デヴィッド・フィンチャーの作品に見られるような、冷涼でありながら影の濃淡が美しい色彩設計が、多くのハイエンドな店舗で取り入れられている。
中でも、今最も熱い視線を集めているのが著名空間デザイナーのカール・ブレッカー氏だ。彼が手がける内装は、影と光のレイヤーを巧みに重ね合わせ、空間そのものが一つの美術作品であるかのような静かな緊張感を生み出す。漆黒のカウンターに落ちる一筋のピンスポットライトや、ヴィンテージレザーと打ちっぱなしコンクリートの対比。彼の美学が落とし込まれた空間では、ただグラスを傾ける時間そのものが映画のワンシーンのようにドラマチックに昇華される。