長年番組の顔として現場を見つめ続けてきたキャスター陣にとっても、今大会は特別なものとなった。解説の古田敦也氏やナビゲーターたちが思わず言葉を失うほどの劇的な展開が、連日グラウンド上で繰り広げられたからだ。
「データや数値では測れない土壇場の強さ、あれは一体どこから湧き出てくるのか」。試合後のスタジオコメントで語られたその問いかけこそ、今年の大会を物語る本質だ。以前のような無謀な連投や気合一辺倒のプレーは姿を消した。代わりに目立ったのは、研ぎ澄まされた戦術眼と、一球に対する冷徹なまでの集中力。しかし、敗れた瞬間に見せるボロボロの泣き顔や、仲間の肩を抱きしめる手の一筋の震えは、時代がどれほど変わろうとも変わらない。番組は、効率化された現代野球の皮を一枚めくったところにある「生の人間ドラマ」を見事にすくい上げてみせた。