ドラマの好感度を決定づけたのは、間違いなく長濱ねる演じる千堂八重の存在感だ。自分を後回しにしがちな「お人好し=嘘つき」なヒロインという、下手をすれば視聴者の共感を得にくい難役に対し、彼女は持ち前の柔らかさと芯の強さをもって見事に命を吹き込んだ。
豪華なタワーマンションという非日常に放り込まれた普通の女性が覚える戸惑いや、匠の強引さの裏にある優しさに気づいていくプロセスの描写が秀逸だった。セリフのないカットで見せる視線の彷徨い、ふとした瞬間にこぼれる笑みの愛おしさ。彼女が演じたからこそ、八重は単なる守られるヒロインではなく、誰かの救いとなる強い優しさを持った存在として画面の中で輝いた。