なぜ、これほど異常な事態が発覚するまで放置されていたのか。事件現場となった住宅街では、近隣との付き合いが希薄だったという。行政や児童相談所への相談や通報の形跡はあったものの、最悪の事態を防ぐことはできなかった。縦割り行政の壁と、地域社会の「見て見ぬふり」が、結果的に家族を孤立させ、狂気を加速させたと言わざるを得ない。
現代社会において、家庭内のプライバシーにどこまで踏み込むべきなのかという議論は常に平行線をたどる。しかし、命が失われてからでは遅いのだ。近隣の「おせっかい」や、行政の強制力を持った介入が不可欠であったことは、この事件の最大の教訓である。