永遠亭における主従関係は、一般的な王族と臣下のそれとは大きく異なる。八意永琳は月の都の賢者であり、輝夜にとっては師であり、同時に共犯者でもある。輝夜の罪をかばい、自らも月を捨てて地上に降り立った永琳の献身は、永遠亭という空間を極めて特異な「家族的共同体」へと変貌させた。
鈴仙・優曇華院・イナバや因幡てゐといった兎たちを従え、地上で怪しまれぬよう薬売りとして生きる姿は、かつての月人の威厳と親しみやすさが同居した幻想郷ならではの情景だ。隠遁生活を経て徐々に幻想郷の日常へと溶け込んでいく輝夜の姿勢は、固執された過去からの脱却を象徴している。