彼女の歩みを語る上で避けて通れないのが、新人公演時代から培われた圧倒的なビジュアルと、それ以上に驚かされる緻密な役作りだ。『ポーの一族』の新人公演で演じたエドガー役は、漫画からそのまま抜け出してきたかのような衝撃をファンに与えた。だが、彼女の本領は外見の麗しさだけに留まらなかった。
宝塚バウホール単独初主演を果たした『舞姫』の太田豊太郎役では、明治の知識人が抱く苦悩、エゴイズム、そして破滅へと向かう愛の脆さを生々しく体現。単なる美談に逃げず、人間の弱さを舞台上に晒し切る度量を見せた。芝居巧者としての評価を決定づけたこの一作は、彼女が持つ表現のグラデーションの豊かさを世に知らしめた金字塔である。