葉の描写がどれほど美しくても、木・幹・枝の描き方に狂いがあると、木全体が頼りなく折れそうに見えてしまいます。幹と枝を描く上で遵守すべき自然界の基本ルールは、以下の3点に集約されます。
まず第1に「太さの保存則」です。一本の幹から枝が分かれる際、分岐した枝たちの断面積の合計は、元の幹の太さにほぼ等しくなります。つまり、枝分かれするたびに枝は確実に細くなっていきます。根元から先端まで同じ太さのまま枝を伸ばしてしまうと、人工物のような不気味さが生じるため注意が必要です。
第2に「Y字分岐とジグザグの規則」です。枝は直線的に伸びるのではなく、節ごとにわずかに角度を変えながらY字状に広がります。このとき、左右均等に分かれる「鳥の足」のような形状を避け、左右で微妙に段差をつける(互生)ことで、自然物ならではの不規則なリズムが生まれます。
第3に「デッサンに基づく円柱の陰影」です。幹は直立した円柱ですから、太陽光による明暗境界線(ターミネーターライン)が縦に走ります。さらに、樹皮の凹凸(縦の溝やゴツゴツ感)は、輪郭線ではなく陰影のタッチで表現するのがポイントです。地面との接地部分には、四方に力強く張り出す「根張り(板根)」をしっかり描き込むことで、大地の重力に耐えるどっしりとした存在感を付与できます。