ファンの間で今なお語り草となっているのが、柿絵が初登場した1999年2月21日放送のアニメ第212話「富士男に彼女ができた!?」の巻です。このエピソードは、ファンの選ぶ「平成ちびまる子ちゃんの神回」ランキング等でも常に上位に推される傑作として知られています。
物語は、普段から横暴な兄・富士男の様子がおかしいことに野口さんが気づく場面から始まります。何かに浮かれ、鏡を気にし、ソワソワしている富士男。あの無愛想な男に彼女ができたという疑惑が浮上し、まる子と野口さんは真相を確かめるべく尾行を試みます。
そして喫茶店で待ち合わせをしていた二人の前に現れたのが柿絵でした。まる子が抱いていた「どんな美女なのか、あるいはどんな物好きなのか」という予想を木っ端微塵に打ち砕くビジュアルと、注文の品を巡って富士男と繰り広げられる痴話喧嘩。周囲への配慮が完全に欠落した二人のやり取りに対し、物陰から静かに観察する野口さんの「……クックックッ」という乾いた笑いが重なる構図は、さくらももこ作品特有のシニカルな人間観察劇の真骨頂でした。
さらにその後のエピソードでも、二人は野口家でケーキの配分を巡って大喧嘩をはじめ、仲直りした途端に周囲を無視してイチャつき出すなど、まる子やさくら家の面々を幾度となく巻き込んでいきます。この「他人の家庭の厄介事を外側から眺める滑稽さ」こそが、視聴者の笑いのツボを刺激し続ける理由です。