ヤクザ現在のシノギ激変!暴排条例が招いた困窮と新資金源の闇

ヤクザ現在のシノギ激変!暴排条例が招いた困窮と新資金源の闇

ヤクザ現在のシノギ激変!暴排条例が招いた困窮と新資金源の闇にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

シノギの枯渇に耐えかねて組を抜ける決断をしたとしても、待っているのは平坦な道ではありません。元組員たちの前に立ち塞がるのが、社会的なペナルティである「元暴5年条項(元暴力団員等に対する5年間の排除条項)」です。

暴力団離脱者のその後を追った調査では、組を正式に偽装離脱ではなく脱退したとしても、各自治体の暴排条例や全国銀行協会の取り決めにより、最低5年間は「暴力団関係者」と同等に扱われます。つまり、足を洗っても5年間は以下の制限を受け続けます。

  • 自分名義の銀行口座を新規に作ることができない(給与の振込先がない)
  • アパートやマンションの賃貸契約を結べない(住居の確保が困難)
  • クレジットカードや各種ローン、生命保険の契約が拒否される
  • 社会保険の加入手続きにおいて重大な制約が生じる

更生を誓って社会に戻ろうとしても、真っ当な雇用先を見つけることは極めて困難です。結果として、暴力団離脱者の再犯率は高止まりし、生きるために古巣のヤクザの周辺者として留まるか、あるいはトクリュウに合流して闇バイトの指示役に身を落とすという負のスパイラルが構造的に生み出されています。

【プロの結論】犯罪社会学の視点で読み解く「排除のパラドックス」

一連の動向を犯罪社会学の観点から分析すると、日本社会は現在「排除のパラドックス」と呼ばれる重大なジレンマに直面しています。

法制化によって指定暴力団という可視化された組織を徹底的に追い詰めた結果、犯罪組織は解体されたのではなく、実態の掴めない「トクリュウ」や「地下グレー経済」へと形態を変えて不可視化しました。かつての暴力団組織には、良くも悪くも「一般市民を過度に巻き込まない」「組の看板に泥を塗らない」という独自の統制・自制メカニズムが存在しましたが、現在のトクリュウにはそうした倫理観は皆無です。SNSを通じた無差別な強盗や悪質な特殊詐欺が白昼堂々と行われる背景には、暴力団の弱体化と統制の崩壊が深く関わっています。

暴力団を社会から排除する政策は不可逆的であり正当なものですが、単なる締め出しだけでは犯罪インフラの地下潜伏を止めることはできません。更生を促す出口戦略(離脱後の就労支援や金融包摂)を同時に機能させない限り、形を変えたアンダーグラウンドの資金獲得活動は社会を脅かし続けることになります。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。