太陽から降り注ぐ自然光(白色光)は、人間の目に見える「可視光線」として、波長の長い順に赤・橙・黄・緑・青・藍・紫という虹の七色を含んでいます。この光が水中に進入した瞬間、色ごとに全く異なる挙動を示します。
水分子(H₂O)には、波長が約650〜700ナノメートル(nm)の「赤色光」を強く吸収して熱エネルギーに変換する固有の性質が存在します。一方で、波長が約400〜480nmと短い「青色光」は水分子にほとんど吸収されません。水深が深くなるにつれて赤や黄色の光は次々と水に呑み込まれて消滅し、最後まで水中に残った青い光だけが水分子に衝突して四方八方へと散乱(水分子散乱)します。この散乱された青い光が水面から飛び出し、人間の網膜に届くことで、私たちは海を「青い」と認識しています。
コップ一杯の水が無色透明に見えるのは、光が通過する水の厚み(光路長)がわずか数センチメートルしかなく、赤色光の吸収や青色光の散乱が知覚できるレベルに達しないためです。数十メートルから数百メートルという膨大な水量のスケールが存在して初めて、水本来が持つ青い色彩が姿を現します。