伝統的な商慣習が色濃く残る日本の芸能界では、タレントと所属事務所の間に著しい力関係の不均衡が生じやすい。個人の意志よりも事務所の方針やクライアントの意向が絶対視され、ひとたびトラブルが発生しても外部に助けを求める回路が極めて限定的であるという構造的な脆弱性が存在する。
さらに近年は、24時間リアルタイムでファンとつながるSNSの運用がタレント自身に義務付けられるようになった。私生活を切り売りして「理想のキャラクター」を演じ続けなければならない環境は、自己とパブリックイメージの乖離を深め、心理的な安全地帯を徹底的に奪っていく。どれほど周囲にスタッフが取り巻いていても、本音を打ち明ける相手が誰一人いないという絶対的な孤立がそこに生じている。