日本の音楽・出版業界において、「ジェンダーの攪乱」は常にアバンギャルドな挑戦として扱われてきた。80年代の江口寿史によるビジュアル表現から、2000年代以降のヴィジュアル系、そして現代のロックシーンへ。水面下で受け継がれてきたその潮流は、いまやメインストリームを脅かす一大潮流となった。
特筆すべきは、美しさが受動的な鑑賞物から、主体的な戦闘服へと変貌を遂げた点だ。かつて大空ひばりがミニスカートと完璧なメイクで自らの居場所をもぎ取ったように、女王蜂もまたドレッシーな衣装とエッジの効いたバンドサウンドでステージを支配する。自己表現としての美は、他者の視線に回収されないための絶対的な武装なのだ。