2000年代初頭、日本の民放テレビ局はまさに細木数子を中心に回っていた。彼女が編み出した『六星占術』は書籍の累計発行部数が1億部を突破し、ギネスブックにも認定されるほどの社会現象を巻き起こした。
TBSテレビの『ズバリ言うわよ!』や、フジテレビの『幸せって何だっけ 〜カズカズの宝話〜』といった冠番組は、放送されるたびに高視聴率を連発。名だたる大物タレントや旬のアイドルに対し、「あんた死ぬわよ」「地獄に落ちるわよ」と容赦ない言葉を浴びせる姿は、痛快なエンターテインメントとして列島を熱狂させた。傲岸不遜とも取れるその強烈な物言いは、一方で視聴者の不安をすくい取る絶妙なカウンセリングとしても機能していたのだ。
テレビ局側も彼女の持つ圧倒的な数字の魔力にひれ伏し、芸能界における彼女の影響力はアンタッチャブルな領域へと達していった。しかし、光が強ければ強いほど、その背後に落ちる影もまた濃くなるのがメディアの常である。