多くの人が陥る失敗の原因は、名前に「焼き」とありながら実際には「蒸し物」になってしまっている点にある。スーパーで売られている袋入りの中華麺は、すでに製造過程で蒸された状態で出荷されていることが多い。そこにさらに水を大量に注いで炒めると、麺の澱粉(でんぷん)が水分を吸い過ぎて粘り気が出てしまい、重いべたつきの原因となるのだ。
プロの調理現場では、中華麺表面の余分な水分を飛ばす工程を絶対に欠かさない。フライパンに触れている面をあえていじらず、じっくりと焼き固めることで、水分を閉じ込めつつ表面だけをクリスピーに仕立て上げる。この「動かさずに待つ」という我慢こそが、べたつきを回避し、噛むほどに小麦の風味が弾ける上質な焼きそばを作るための絶対防衛線といえる。