アジア初開催となった大阪万博のシンボルとして建設された太陽の塔。その誕生劇は、過剰な近代主義に対する天才芸術家・岡本太郎の烈々たる抗議でもあった。科学技術の進歩を謳いあげるテーマ館の大屋根をくりぬく形で聳え立ったその異形は、単なるパビリオンの枠を超え、人類の原始的なエネルギーを突きつける怪作だった。
近代化の波に呑み込まれようとしていた昭和史のターニングポイントにおいて、岡本が塔の内部に組み込んだ「生命の樹」は、技術万能主義への警鐘だったと言える。当時の技術者たちとの激しい議論の末に完成したこの巨塔は、現在もなお我々に「進歩とは何か」を問いかけ続けている。