どれほど注意を払っていても、不慮の接触により刺されてしまう事態は起こり得ます。刺傷被害に遭遇した際は、冷静かつ迅速な初動が生死を分けます。
蜂に刺されると、局所的な激痛、赤み、腫れ、熱感といった刺されたときの症状が即座に現れます。この際、現場で取るべき応急処置の手順は以下の通りです。
まずは蜂の追撃を避けるため、姿勢を低くしてその場から20〜30メートル以上静かに離れます。安全な場所に移動したら、直ちに傷口を水道の流水で勢いよく洗い流します。蜂の毒は水溶性タンパク質であるため、水で洗い流しながら指で患部を強く圧迫し、毒液を絞り出すことが極めて有効です(市販のポイズンリムーバーがあれば最優先で使用)。昔ながらの民間療法として知られる「アンモニア(尿)をかける」という行為は、医学的根拠が全くないばかりか皮膚炎を悪化させるため絶対に厳禁です。毒を絞り出した後は、抗ヒスタミン成分やステロイドを含む軟膏を塗布し、保冷剤や氷水で患部を冷却して安静を保ちます。
何よりも警戒すべきは、アレルギー反応によるアナフィラキシーショック症状です。
厚生労働省の人口動態統計によると、日本国内では毎年10人から20人前後が蜂刺されによるアレルギーショックで命を落としています。「2回目に刺されたら危ない」と広く言われていますが、初回であっても体質によって抗体が作られていれば重篤なショックを引き起こすリスクがあります。
刺されてから数分〜15分前後の間に、以下の兆候が1つでも見られた場合は、一刻の猶予もなく119番通報による救急要請を行ってください。
- 手のひらや全身に激しいかゆみ、蕁麻疹(じんましん)、赤みが急速に広がる
- 喉の締め付け感、声のかすれ、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)、息苦しさ
- 激しい腹痛、吐き気、嘔吐、めまい、冷や汗、立ちくらみ
- 顔面蒼白、口唇のチアノーゼ、意識の混濁、脱力感
アドレナリン自己注射製剤(エピペン)を携行している場合は即座に大腿部外側に筋肉注射を行い、救急隊の到着を待つ間は足を高くして横たわるショック体位を取らせることが推奨されます。