ゴシックホラーや吸血鬼伝説の影響から「オオコウモリは人間の血を吸うのではないか」「肉食で小動物を襲うのではないか」と誤解されがちですが、生態学的な事実は正反対です。オオコウモリの仲間はほぼ例外なく完全な植物食性(果実食・花蜜食)です。
彼らの主食はイチジク、マンゴー、パパイヤ、バナナなどの熱帯果実や、樹木の花蜜・花粉です。果汁と柔らかい果肉だけを搾り取るように食べ、消化できない種子や繊維質は吐き出すかフンとして排出します。この採食行動によって森林全体に種子をばらまき、受粉を媒介する「森の再生者(キーストーン種)」として極めて重要な生態系サービスを担っています。
また、小型のコウモリが超音波を発して獲物を探す「エコーロケーション(反響定位)」を駆使するのに対し、オオコウモリの多くはエコーロケーションを行いません。その代わりに大きく発達した視覚(大きな目)と鋭い嗅覚を頼りに夜の森を飛び回り、熟した果実を探し当てます。キツネや犬に似た愛らしい顔つきをしていることから「フライングフォックス」と名付けられたのもこの顔立ちに由来します。
身体の代謝効率が安定しているためオオコウモリの寿命は野生下で15〜25年、動物園などの飼育管理下では30年を超える個体も記録されています。小型哺乳類としては異例の長寿を誇る点も、彼らの進化の奥深さを示しています。