「もし私の死後、2人のダライ・ラマが現れたらどうするか」。ダライ・ラマ14世自身、この最悪のシナリオを予見している。1人は亡命チベット社会と自由主義陣営が推す真の継承者、もう1人は中国共産党が北京で仕立て上げた傀儡の継承者。世界が2人のダライ・ラマという分裂した事態に直面したとき、伝統の正統性はどこへ向かうのか。
14世は、生きているうちに後継者を指名する「存命中の発現(マエントゥル)」という極めて異例な選択肢や、高僧たちの評議会による民主的な合意形成など、古来の輪廻転生制度の枠組みを柔軟に変化させる可能性をも示唆してきた。形骸化した制度の維持よりも、教義の本質と人々の心の救済を優先する姿勢。それは、数千年の時を超えて受け継がれてきた知恵が、巨大な国家権力の嵐の中で生き残るための最終防衛策なのかもしれない。世界が見守るなか、ヒマラヤの霊峰が静かにその回答を待っている。 (出典: ダライラマ 輪廻 転生(Yahoo!ニュース))
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