キャリアの転機となったのが、日本を代表するトップ俳優がひしめく芸能事務所・研音への移籍だ。保護された子役という立場から脱却し、ひとりの自立した役者として歩み出す覚悟がこの決断に滲む。環境の変化は、演技へのアプローチをよりストイックなものへと進化させた。
その変化が如実に現れたのが日曜劇場『オールドルーキー』での演技だ。父の苦悩を敏感に察知し、家族の中で静かに葛藤する長女役。セリフのない沈黙の時間にこそ、彼女の真価が宿っていた。目線の泳ぎ、わずかな指先の震え、感情を押し殺した呼吸。研音の先輩俳優たちから受ける刺激をスポンジのように吸収しながら、彼女は「大人の芝居」を着実に自分の血肉へと変えていった。