インターネット上のフィードに流れてくるのは幻想的なガラス空間ばかりだが、実はこの美術館の地下層には、訪れた者を激しく混乱させるディープな空間が広がっている。映画カルチャーへの深い傾倒から生まれたとされる、映画「007シリーズ」の歴代プロップやコレクション、そして実物大の「ターミネーター」の造形物が突如として姿を現すのだ。
繊細極まるガラスの世界から一転、火薬とオイルの匂いが漂ってきそうなハリウッドアクションの世界への急転直下。この強烈な振れ幅に、多くの初訪者は虚を突かれる。だが、これこそが既成の美術館概念に対する神谷の批評的アプローチなのかもしれない。高尚なアートと大衆的サブカルチャーの境界線を意図的に無効化する試みは、SNSの綺麗に整えられたフィードの中では決して伝わらない、生々しい肉肉しさを帯びている。