十二支に猫がいない本当の理由は?昔話の騙された真相と世界の干支

十二支に猫がいない本当の理由は?昔話の騙された真相と世界の干支

十二支に猫がいない本当の理由は?昔話の騙された真相と世界の干支についての疑問解決ガイドを徹底解説します。

神話や天文学の成立時期とは別に、仏教説話の側面からも猫が十二支の輪や宗教的象徴から外された経緯が語り継がれています。その象徴的な舞台となるのが、釈迦が入滅(死去)する際の様子を描いた「涅槃図(ねはんず)」です。

涅槃図には、横たわるお釈迦様を取り囲んで嘆き悲しむ菩薩や弟子たち、そして虎、象、鳥などの多種多様な生き物が精密に描かれています。しかし、伝統的な仏教絵画の定石において、猫は涅槃図の中に描かれないのが長年の不文律とされてきました。

仏教の因縁譚によると、重病に倒れたお釈迦様のために、天界から使いとしてネズミが万病に効く薬袋を取りに向かいました。薬袋を持ち帰る途中でネズミが薬の袋を木の枝に引っ掛けてしまい、往生していたところ、その様子を見た猫がネズミに襲いかかり、捕食してしまったとされます。結果として薬が届くのが遅れ、お釈迦様は命を落とすことになった――この伝承から、仏教界では猫を「お釈迦様の救済を阻んだ罪深い存在」と見なし、十二支のみならず涅槃図からも排除したという言い伝えが広まりました。

ただし、これには歴史的な例外も存在します。京都の名刹・東福寺に伝わる国宝級の涅槃図(明兆筆)には、国内でも極めて珍しく猫が描かれています。伝説によれば、絵師の明兆が良い絵の具の調達に苦心していた際、一匹の猫が希少な画材のありかを案内したことに感謝し、仏法上の禁忌を犯して特別に描き足したと伝わっています。こうした例外があること自体、猫の排除が教義上の絶対的命令というよりは、後世の民俗的解釈によって定着したことを物語っています。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。