内水氾濫が発生する背景には、自然現象である降雨の激甚化と、近代都市が抱える構造的な脆弱性の双方が関係しています。主な原因は大きく3つに集約されます。
第1に、「都市下水管の設計容量を超える局地的大雨(ゲリラ豪雨)」です。日本の多くの都市部における下水道は、一般的に1時間あたり50mm〜60mm程度の降雨を基準に設計されています。しかし近年では、1時間に80mm〜100mmを超える猛烈な雨が頻発しており、物理的な排水許容量を瞬時にオーバーしてしまいます。
第2に、「都市のコンクリート化・アスファルト舗装による保水・浸透機能の喪失」です。かつての田畑や森林であれば雨水が地面に浸透していましたが、アスファルトや建物で覆われた都市部では、降った雨のほとんどが地表を伝って一気に側溝や下水道へ集中します。
第3に、「河川の水位上昇によるバックウォーター現象と排水水門の閉塞」です。合流先の大きな河川の水位が上昇すると、市街地の水を川へ流せなくなるだけでなく、川の水が逆流する恐れが生じます。これを防ぐために堤防の水門(樋門)を閉める措置が取られますが、その結果として市街地側の雨水が行き場を失い、街の中に溜まり続ける「内水湛水(たんすい)」が発生します。