結論から述べると、「地震雲」と呼ばれる現象に科学的根拠は一切認められていません。気象庁は公式発表資料や質疑において、「雲は大気の現象であり、地下深くで発生する地震活動と直接結びつく仕組みは確認されていない」と明言しています。
地震学および気象学の専門家組織である日本地震学会の見解でも、雲の形状から地震の発生日時、震源地、規模(マグニチュード)を特定・予知することは不可能と結論づけられています。地震は地底数キロから数十キロのプレート境界面や活断層で岩盤が破壊される現象であり、大気圏上層に浮かぶ水蒸気の結晶である雲の形成メカニズムとは物理的な領域が完全に隔絶されています。
過去には「地殻が破壊される際に生じる電磁波が大気中の水蒸気イオン化を促し、特異な雲を発生させる」という電磁気学的仮説が一部の研究者から提唱されたこともありました。しかし、その後の定量的観測および再現実験において有意なデータは得られておらず、学術界で支持される理論には至っていません。地震予知の最新研究が進む現在においても、雲を観測対象とした予知手法は科学的プロセスとして成立していないのが実態です。