渋谷のカルチャー発信地として長年君臨する道玄坂エリア。その路地裏に位置する「トウキョウサロナードカフェダブ道玄坂」の扉を開けると、外の喧騒とは隔絶された重厚な空間が広がります。高い天井、艶やかな深紅のベルベット、使い込まれたレザーの質感、そして微睡みを誘う間接照明――。ここがかつて昭和のグランドキャバレー(社交場)であった歴史を色濃く残す内装は、訪れる者を一瞬で非日常へ引き込みます。
この独創的な空間をプロデュースしたのは、東京のカフェブーム黎明期から数々の名店を仕掛けてきたリノベーションプランニングです。画一的な商業デザインとは一線を画し、建物の持つ記憶や古き良きマテリアルを活かして再生する同社の真骨頂が、この場所に結実しています。
「渋谷レトロカフェ」の代表格として語られる理由は、単なるヴィンテージ風の装飾にとどまらない本物の時代感にあります。フロアに不揃いに配置された渋谷アンティークソファカフェのシートは、座面の沈み込みや手触りまで計算されたかのように心地よく、デジタルデバイスに囲まれた現代人の過敏な神経を穏やかに解きほぐしてくれます。