無限城の決戦において、善逸が放った雷の呼吸の最終到達点――それが漆ノ型 火雷神(ほのいかづちのかみ)です。この技は、歴代の鳴柱の誰一人として生み出せなかった、善逸完全オリジナルの奥義でした。
火雷神の真実において特筆すべきは、その技が「獪岳を憎悪して殺すため」ではなく、「いつか獪岳と肩を並べ、対等な兄弟弟子として共に戦うために創った技」であったという点です。弐ノ型から陸ノ型を使える獪岳に対し、壱ノ型しか使えない善逸が、自分なりの答えとして並び立つために編み出した技でした。
無限城で対峙した獪岳は、善逸の放った不可視の一閃を前に、首を撥ね落とされる瞬間まで何が起きたのか認識すらできませんでした。漆黒の雷を纏い圧倒的優位を誇っていた獪岳の頸を、黄金の龍となって駆け抜けた火雷神。それは、恩師を自刃(切腹)へと追い込んだ兄弟子への怒りと、共に歩むはずだった未来への決別を込めた、哀しくも気高き一撃でした。