トルコにおける日本人被害事件のなかでも、国内外に最大の衝撃をもたらしたのが2013年9月9日に発生したトルコ日本人殺傷事件(いわゆるカッパドキア女子大生事件)です。現場となったのは、奇岩が連なる世界的景勝地カッパドキアの中心部、ギョレメ近郊に位置する「ゼミ渓谷」でした。
当時、新潟県内の大学に通っていた女子大生2名は、卒業旅行を兼ねてトルコを訪れていました。二人はレンタル自転車を利用し、観光ルートとして知られていた渓谷沿いの遊歩道を走行していましたが、人通りの途絶えた小道で刃物を持った現地の男に突如襲撃されました。激しい抵抗も虚しく1名が命を奪われ、もう1名も重傷を負うという極めて凄惨な結果となりました。
カッパドキア事件経緯を辿ると、犯行は計画的なテロなどではなく、人気のない渓谷で無防備な外国人女性二人連れを見かけた男による、突発的かつ極めて身勝手な欲望と強盗目的による凶行でした。事件直後、現地警察は大規模な捜査網を展開し、現場に残された遺留品や目撃証言、被害者の証言から近隣に住む無職の男(当時20代)を特定し、電撃的なスピードで身柄を拘束しました。
親日感情が根強いトルコにおいて、日本人観光客が理不尽な暴力にさらされた事実は現地社会にとっても痛恨の極みであり、事件直後には地元住民や観光業者らによる大規模な抗議デモや被害者への追悼集会が開催され、国を挙げて哀悼の意が示されました。