デザインの現場にはびこる最大の誤解は、「商用フリー素材著作権の真相を理解しないまま、ダウンロードボタンを押せば何をしても許される」という思い込みです。利用規約の条文を詳細に読み解くと、多くの無料配布サービスには厳しい制約が課されています。
代表的な盲点が「商品化利用(グッズ販売)の禁止」です。チラシやポスターへの掲載は無料であっても、そのイラストをプリントしたうちわ、手ぬぐい、Tシャツを会場で有料販売した瞬間、重大なライセンス違反となります。また、「1つの制作物につき使用できる無料素材は20点まで」といった点数制限を設けているサイトも多く、複数のパーツを組み合わせて賑やかな境内を描こうとすると、知らぬ間に制限を超過してしまうケースがあります。
さらに見逃せないのが、伝統工芸や地域文化財の権利関係です。特定の神社が所有する社紋(神紋)や、地域固有の山車・神輿の彫刻意匠は、商標登録や意匠保護の対象となっている場合があります。フリー素材サイトの作家がそれらを無許可でデフォルメしてアップロードしていた場合、使用した企業側が地域の保存会から抗議を受けるリスクも孕んでいます。