ネット上の情報や保護者の古い固定観念には、自由研究に関する深刻な誤解が存在します。その最たるものが「市販キットの工作を数日かけて組み立てれば安心」という思い込みです。
多くの学校現場で理科作品展の審査員を務める教員たちの証言によれば、説明書通りに組み立てただけの木工工作や電子工作キットは、どんなに見栄えが良くても「本人の思考の形跡が見えない」として校内選考で真っ先に弾かれます。教員が評価シートで採点しているのは「手先の器用さ」ではなく、自発的な問題解決能力だからです。
また、「10分で終わらせた実験は手抜きとして怒られるのではないか」という不安も杞憂に過ぎません。提出物に「実験にかかった時間は10分です」とわざわざ書く必要はなく、書くべきは「観察を10分間行った結果、どのような変化が起きたか」という科学的事実です。10分間の現象を深く掘り下げ、図や表を用いてA4用紙2〜3枚あるいは模造紙半枚にまとめた作品は、数日放置したアサガオの枯れた日記よりも学問的価値が圧倒的に高いと評価されます。