ネット上では時折、「あんなに客が入っていたのに潰れるのはおかしい」という素朴な疑問が投げかけられます。しかし、ここには温浴ビジネス特有の「開発生死サイクル」という大きな盲点が存在します。
1990年代末から2000年代初頭にかけて、日本全国でスーパー銭湯ブームが巻き起こりました。当時締結された20年の定期借地契約が、2015年から2020年代前半にかけて一斉に満了期を迎えました。施設側が直面するのは、数千万円から数億円に及ぶボイラーの刷新、配管の全交換、受変電設備のオーバーホールといった莫大な維持更新コストです。
さらに、運営元の株式会社スパサンフジは、近年「湯楽の里」ブランドにとどまらず、高付加価値型の「喜楽里(きらり)」ブランドや、最新鋭の温浴リゾート開発へとポートフォリオを再編しています。築20年を迎えたロードサイド型店舗に莫大な更新投資を投じるよりも、将来性の高い戦略拠点へと資本を集中投下する方針をとったことは、企業経営の観点からは極めて合理的かつ堅実な選択であったと分析できます。