ネット上の掲示板やSNSでは、長年ささやかれている噂があります。「あの名言はすべて優秀な放送作家が事前に書いた台本通りなのではないか?」という疑惑です。しかし、番組制作会社スタッフへの取材や本人の述懐によって、この説は完全に否定されています。
現場での真実は、むしろ「台本に頼れない過酷さ」にありました。グルメ番組の撮影現場では、料理が冷めないうちに湯気ごとカメラに収める必要があり、リハーサルなしのワンテイクでコメントを求められます。もし事前に台本を用意していても、運ばれてきた料理の盛り付けや実際の温度感、香りの強さが想像と異なれば、即座に嘘がバレてしまいます。
彦摩呂さんはインタビューの中で、次のように語っています。
「事前のリサーチで料理の知識は頭に入れますが、決め打ちのコメントは絶対に作りません。料理人が何時間も仕込みをして出してくれた器と向き合った瞬間、一番最初に心が動いた部分を言葉にする。そうでないと視聴者の胃袋に届かないんです」
また、「何でもかんでも宝石箱と言っている」というのも大きな誤解です。彼自身、宝石箱という表現を使うのは「複数の具材が色鮮やかに散りばめられ、視覚的な輝きが伴っている料理」に厳しく限定しており、安易な乱用を自ら戒めています。