教育機関や研修で一般的に用いられる高齢者疑似体験セット(別名:シニア体験スーツ)は、加齢に伴う複数の身体的変化を同時に再現する設計になっています。主要な構成パーツとその作用は以下の通りです。
1. 白内障・視野狭窄体験ゴーグル
黄色がかった半透明レンズや視野を制限するスリットが入っており、白内障ゴーグル体験では全体が白く霞み、コントラストが極端に低下します。新聞の小さな活字はもちろん、階段の段差の境目や、黄色と白の識別が困難になる感覚をダイレクトに味わえます。さらに視野狭窄体験キットを併用すると、まるで細い筒を通して外を見ているかのような閉塞感に包まれます。
2. 関節抑制サポーターと重り(手首・足首)
肘や膝の関節の曲げ伸ばしを制限する専用サポーターと、左右で片側約500g〜1kgの重りを装着します。これにより、加齢による関節拘縮と筋力低下を再現。階段を一段上がるだけでも、太ももを引き上げるのに強い力が必要となります。
3. 背骨湾曲ベルト(前屈姿勢誘導ベルト)
胸と腰を固定し、背中が自然と丸まった前傾姿勢を維持させます。目線が強制的に斜め下を向くため、周囲の状況を把握するために顔を上げようとすると首に強い負荷がかかります。
4. 指先感覚低下手袋・特殊耳栓
厚手の手袋や指先を二重にした特殊グローブを装着し、指先の触覚を鈍らせます。財布から10円玉を取り出す、薬のシートから錠剤を押し出すといった微細運動がいかに難しいかを実感します。また、高音域を遮断する耳栓をつけることで、言葉の聞き取りにくさ(老人性難聴)も再現されます。