全国的なイメージと地元のリアルな会話において最も大きなギャップを生んでいるのが、この言葉に含まれる「怒り・苛立ちのサイン」です。語尾を明るく上げて発音する場合には「これでいいでしょ?」という気軽な提案や同意のニュアンスになりますが、語尾を低く鋭く落としたり、語頭にアクセントを置いて言い放ったりする場合、その意味は180度反転します。
例えば、何度も同じ小言を言われた際や、自分の判断に口を挟まれた際に放たれる「……よかろうもん!」は、標準語の「もういいだろ!」「放っておいてくれ」「これ以上言わせるな」という強い拒絶と苛立ちの表明です。博多の家庭内や職場において、普段は穏やかな人物が語気を強めてこのフレーズを口にした場合、それは明確な感情の沸点(限界値)を示しているケースが少なくありません。
言葉自体の字面だけで判断して「方言で可愛らしく返してくれた」と受け取ると、重大なコミュニケーションの齟齬を招く危険があります。表情や前後の文脈、声のピッチ(高低差)を読み取ることが、博多弁の真意を理解する上での決定的な鍵となります。