「気温がまだ20度前後で爽やかなのに、なぜ5月の紫外線がこれほど強いのか」という疑問を持つ人は後を絶ちません。この現象が生じる決定的な理由は、地球の公転軌道に伴う「太陽高度(天頂角)」と大気中の散乱メカニズムにあります。
地表に到達する紫外線量は、気温ではなく太陽の角度によって決定づけられます。夏至(6月下旬)に近づくにつれて太陽は天頂高くへと昇り、太陽光線が大気層を通過する距離が極端に短くなります。大気を通過する距離が短くなればなるほど、オゾン層や大気中のエアロゾルによって散乱・吸収される割合が減少し、強力な光エネルギーがそのまま地表へ突き刺さる構造です。5月下旬の太陽高度は8月上旬とほぼ同等であり、物理的な照射条件はすでに真夏と差異がありません。
さらに見逃せないのが紫外線ピーク時間帯の真相です。1日の照射リズムを精査すると、午前10時から午後14時までのわずか4時間に、1日に降り注ぐ全紫外線量の約60%以上が集中して投下されています。朝夕の通勤時間帯には斜めから差し込む光であったものが、正午前後には垂直に近い角度から頭頂部や鼻筋、肩先へと降り注ぎます。
加えて、紫外線は太陽から直接届く「直達光」だけでなく、大気中のチリや空気分子によって四方八方に跳ね返る「散乱光」が約半数から6割近くを占めるという特異性を持っています。日傘を差して日陰に入っていても、斜め下や横方向から反射・散乱した紫外線が顔面を容赦なく直撃する理由はここにあります。