ネット上の掲示板や転職サイトで長年語り継がれてきた「窓口で座って書類に判子を押すだけ」「夏休みが1カ月間丸々ある」といった言説は、現在の高等教育現場ではほぼ幻想と化しています。文部科学省が進める「教職協働」(教員と職員が対等なパートナーとして大学運営に参画する方針)のもと、大学職員の仕事内容の現実は高度なプロジェクトマネジメントへと変貌を遂げています。
現場の業務は、学生部や教務部といった従来の学務領域にとどまりません。少子化の中で優秀な学生を確保するための「広報・入試戦略」、外部企業や自治体と連携して研究資金を調達する「産学連携・URA業務」、学内システムの刷新を主導する「キャンパスDX」、さらには留学生受け入れ拡大に伴う「国際展開支援」など、極めて能動的なアクションが求められています。
大学関係者の手記や現場からの証言でも、次のようなリアルな本音が吐露されています。
「定時で帰れる部署があるのは事実ですが、入試シーズン(12月〜3月)の入試課や、カリキュラム改編を担う教務課、文科省の補助金申請を抱えた研究支援部門などは深夜残業が常態化することもあります。ミスが許されない入試当日のプレッシャーは凄まじく、精神的な負荷は一般企業と変わりません」
また、大学特有の人間関係も無視できません。研究・教育の第一人者である「大学教授陣(教員)」と、組織運営を担う「事務職員」の間には、歴史的に根深い力関係が存在します。どれほど経営的に正当な施策であっても、教授会の承認を得られなければ1ミリも前進しないという構造があり、利害調整に膨大なエネルギーを費やすことにストレスを感じて早期離職に至る転職者も一定数存在します。