月々の手取り約23.6万円という現実は、世帯形態によって全く異なる生活風景を生み出す。単身世帯と子育てファミリー世帯の家計簿を比較することで、生活レベルの実態を浮き彫りにしていこう。
単身者:規律ある自炊とメリハリ消費で「確実な資産形成」が可能
一人暮らしにおける額面30万円の適正家賃相場は、手取り額の3分の1である7.5万〜8万円以内が鉄則だ。賃貸ポータルサイトでは「額面収入の3分の1=10万円」という審査基準が提示されることもあるが、家賃10万円の物件を選んだ場合、手取り23.6万円から残る資金は13.6万円まで削られ、家計は一気に綱渡りとなる。
都内近郊で家賃7.8万円の賃貸に住む30歳IT系企業勤務男性の家計簿実例を見てみよう。
- 家賃:78,000円
- 食費(自炊中心+適度な外食):42,000円
- 水道光熱費:12,000円
- 通信費(格安SIM+光回線):7,000円
- 日用品・雑費:8,000円
- 交際費・趣味・被服費:35,000円
- 新NISA投資信託積立:35,000円
- 普通預金プール:19,000円
- 合計支出+積立:236,000円
このように、単身者であれば身の丈に合った住居費に抑えることで、生活の質を保ちながら月収30万円の貯金額と投資割合を手取りの20%以上(月5万円前後)確保することが十分に可能だ。ボーナスが年60万〜90万円支給される職場であれば、それを旅行や大型家電の購入、さらなる自己投資に充てる余裕も生まれる。
子育て既婚者:片働きなら貯蓄ゼロの崖っぷち、共働きが前提の生活防衛
対照的に、月収30万円で配偶者と未就学児〜小学生の子どもを抱えるファミリー世帯の場合、生活レベルは一変して「サバイバル状態」へと突入する。
配偶者控除や扶養控除により税負担は独身者より月数千円軽減され、手取り額は約24.3万円前後に増えるものの、支出の爆発的な増加には到底追いつかない。都下や地方中核都市で2LDK〜3LDKのファミリー向け物件を借りれば、家賃相場は安くても9万〜11万円に達する。食費は家族3〜4人分で最低でも6万〜7万円を要し、子どものオムツ代や教育費・習い事、光熱費の増大が家計を直撃する。
「ボーナスなし年収360万円の家庭で子どもを育てるのは、毎月が赤字との戦いです。病気による急な通院や冠婚葬祭があれば、あっという間に家計が破綻します。SNSで『月収30万あれば家族を持てる』という言説を見かけますが、都心近郊での片働きは幻想に近い」
首都圏で家計見直し相談を請け負うファイナンシャルプランナーは、現場取材でそう語気を強めた。家族世帯において月収30万円の給与水準を維持する場合、配偶者がパートや正社員として就業し、世帯月収を40万〜50万円(世帯年収550万〜650万円)に引き上げることが、健全な家計運営のための絶対条件となっている。