法律上の定義において、「被告」と「被告人」は使われる法廷の場そのものが異なります。端的に言えば、民事裁判の当事者が「被告」であり、刑事裁判で審理を受ける者が「被告人」です。
民事訴訟法上、訴えを起こした側を「原告」、訴えられた側を「被告」と呼びます。ここには犯罪の成否や刑罰の有無は一切関係ありません。たとえば、遺産相続の配分トラブルや交通事故の損害賠償請求、あるいは金銭の貸し借りに関するトラブルにおいて、裁判所を介して争う相手方が「被告」となります。
対して、刑罰権の行使を争う刑事手続において、捜査機関から犯罪の嫌疑をかけられ、検察官によって法廷に起訴された人物を指す正式呼称が、刑事訴訟法上の「被告人」です。司法の現場において裁判官や検察官、弁護人が法廷内で「被告」と呼ぶことは原則としてあり得ず、必ず「被告人」と厳密に呼び分けられています。