山形の秋を象徴する行事といえば、河川敷に家族や仲間が集まって大鍋を囲む「芋煮会」です。県民にとって欠かせない年中行事ですが、実は地域によって具材や味付けが明確に異なります。
内陸部にあたる村山地域(山形市周辺)や置賜地域(米沢市周辺)では、「牛肉×醤油仕立て」が絶対的なスタンダードです。里芋、薄切りの牛肉、こんにゃく、長ネギをベースに、醤油と砂糖、酒で甘辛く煮込みます。締めにはカレールーとうどんを投入して「カレーうどん」にするのが定番の楽しみ方です。
一方、日本海側に位置する庄内地域(鶴岡市・酒田市周辺)では、「豚肉×味噌仕立て」が主流となります。具材には里芋に加えて油揚げや厚揚げ、ごぼう、椎茸などが入り、豚汁に近いコク深い味わいに仕上がります。さらに最上地域(新庄市周辺)では、豚肉または鶏肉をベースに山菜やキノコをふんだんに加えるスタイルが定着しています。同じ県内でありながら、山一つ越えるだけで全く異なる味付けに変化する多様性こそ、山形の食文化の醍醐味です。