女性の解剖学的構造上、尿道口と膣口は数センチしか離れていません。そのため、便器の水が赤くなった際、それが「尿そのものに血が混じっている(血尿)」のか、「性器からの出血が排尿時に洗い流された(不正出血)」のかを識別することは、一般の方にとって容易ではありません。
医療現場で推奨される不正出血と血尿の見分け方には、家庭ですぐに実践できる具体的なチェック手順があります。
まず、清潔なティッシュペーパーを用意し、排尿前に膣口付近を軽く押さえて血液が付着するか確認します。次に、排尿の直後にティッシュを尿道口(前側)と膣口(後ろ側)に分けて別々に当ててみてください。膣口側だけに血液が付着する場合は子宮頸がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮頸管ポリープ、あるいは排卵期出血やホルモンバランスの乱れによる不正出血が強く疑われます。一方、尿道口側から付着する場合や、尿そのものが全体として赤褐色に濁っている場合は、泌尿器系からの出血と判断できます。
では、血尿で痛みなしの女性は何科を受診すべきかという判断について、迷った際の明確なロードマップを提示します。
泌尿器科と婦人科の受診判断基準の鉄則は、「明らかな月経中を除き、排尿した液体そのものが赤い場合は、まず泌尿器科を選択する」ことです。婦人科系の出血であれば内診や経膣超音波ですぐに判明しますが、尿路上皮がんを見逃した場合の進行リスクは極めて高いためです。もし受診先に迷った場合でも、泌尿器科では「中間尿の採取」や「カテーテル導尿」によって膣からの混入を完全に排除した正確な尿検査ができるため、原因箇所の切り分けが最もスムーズに進みます。