「目覚ましが鳴ってもどうしても起きられない」「休日に寝だめをしてもだるさが抜けない」という現象は、視交叉上核が刻むリズムと実生活のタイムスケジュールが乖離することで起こります。
人間の体内時計が刻む周期(サーカディアンリズム / 概日リズム)は、地球の自転周期である24時間ちょうどではなく、平均して約24.2時間前後とわずかに長めに設計されています。つまり、何の調整も行わなければ、私たちの体内時計は毎日少しずつ後ろへとズレていき、夜更かし・朝寝坊の方向へ傾いていく宿命にあります。
このリズムの根底を支えているのが、細胞内で周期的に発現する「時計遺伝子(Clock、Bmal1、Period、Cryptochromeなど)」の働きです。視交叉上核の細胞内では、これらの遺伝子が約24時間周期でタンパク質を合成・分解するフィードバックループを自律的に繰り返しています。この自律振動が狂ったり、光による日々の修正が行われないと、睡眠障害や社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)の引き金となります。