竹鶴12年はなぜ終売したのか?現在相場と復活の噂をプロが徹底検証

竹鶴12年はなぜ終売したのか?現在相場と復活の噂をプロが徹底検証

竹鶴12年はなぜ終売したのか?現在相場と復活の噂をプロが徹底検証の重要なポイントについて、専門知識を基に徹底解説します。

竹鶴12年の終売が公式発表されたのは、2014年3月のことでした。この発表はウイスキー業界に大きな激震を走らせました。当時、日本のウイスキー市場は2008年頃から始まった角ハイボールブームを起点に急速なV字回復を遂げており、洋酒復権の熱気が全国に満ちていた時期です。

しかし、この急激な需要拡大こそが、竹鶴12年を終売へと追い込む引き金となりました。ウイスキーは蒸留後すぐに商品化できるものではなく、12年熟成のボトルを世に送り出すためには、当然ながら最低でも12年前に蒸留した原酒が樽の中で眠っていなければなりません。ところが、竹鶴12年に使われるべき原酒が仕込まれていた1990年代後半から2000年代初頭の日本は、ウイスキー消費の「冬の時代」の真っ只中でした。各蒸留所は需要激減に対応するため減産を余儀なくされており、10数年後に訪れる未曾有のウイスキーブームを支えるだけの長期熟成原酒は、最初から絶対量が足りていなかったのです。

さらに決定打となったのが、同年秋から放送が予定されていたNHK連続テレビ小説『マッサン』の存在でした。ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝とその妻リタをモデルにした同作の放映を前に、アサヒビールおよびニッカ首脳陣は、予測される凄まじい需要の殺到に対して現有の12年熟成原酒が瞬く間に枯渇することを確信していました。ブランドの根幹を支える長期熟成原酒を完全に底をつかせないための緊急避難的措置として、竹鶴12年は市場から退場せざるを得なかったのが歴史的事実です。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。