「退去立ち会いの場で、壁紙全面張り替えとオゾン脱臭費用として38万円の請求書を突きつけられました。敷金は1円も戻らず、納得がいきません」――都内のIT企業に勤務する30代男性は、愛猫1匹と暮らした世田谷区の1LDKマンションを退去した際の手記で、憤りを露わにしています。SNSやネット掲示板上でも、賃貸退去時の高額請求に困惑する飼い主の声が毎日のように投稿されています。
こうしたペット飼育時の原状回復トラブルが生じる経緯を辿ると、国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」と、賃貸借契約書に記載された「特約条項」との乖離に行き着きます。通常の使用による損耗(経年劣化)はオーナー負担が原則ですが、ペットによる柱の引っかき傷、壁紙の剥がれ、床への粗相による臭いやシミは「借主の善管注意義務違反」とみなされます。
実際の現場検証から判明したペット可物件における退去費用相場の真実として、ワンルーム〜1Kで10万〜18万円前後、1LDK〜2LDKクラスになると25万〜45万円前後に跳ね上がるケースが珍しくありません。特に「室内全体のクロス貼り替え」「フローリングの薬品洗浄または張り替え」「エアコン内部の高圧洗浄・消臭作業」が一括して借主負担として契約書に特約記載されている場合、法的な対抗が極めて難しくなります。
一方、東京の賃貸でペット可物件の審査が厳しい真相には、管理会社やオーナー側の自衛策があります。不動産管理関係者への取材によると、審査落ちの原因は年収や勤務先だけではありません。「共用部での粗相や鳴き声による近隣住民からのクレーム」「無駄吠えによる退去ドミノ」「室内放置による糞尿被害」を極度に警戒しているためです。近年は、ペットの写真、狂犬病予防注射済証、混合ワクチン接種証明書に加え、しつけ教室の修了証や去勢・避妊手術の完了証明書の提出を義務付ける物件が急増しています。