「ペットショップを何軒回ってもハチワレのブリティッシュに出会えない」という声は少なくありません。この現象の背景には、単なる偶然ではなくブリティッシュショートヘアのハチワレが珍しい理由を形作る明確な遺伝メカニズムと繁殖現場の歴史的方針が存在します。
国際的な猫血統登録機関(CFAやTICA)の血統基準において、ハチワレは一般に「バイカラー(2色毛)」に分類されます。地毛の色に対して白い斑(ホワイトスポット)が入る現象は、常染色体上の「S遺伝子(ホワイトスポッティング遺伝子)」の働きによるものです。しかし、この遺伝子は白の広がり方を精密に制御することができません。鼻筋から額にかけて左右対称に富士山を描くような美しい「八の字」を形成し、かつ胸元や手足に適度な白を配した個体が誕生する確率は、同一腹の子猫であっても極めて偶発的です。
国内のトップブリーダーへの取材によると、「頭部の片側だけに白が入るアシンメトリーや、白の面積が広がりすぎる個体が多く、キャットショーのスタンダードを満たすようなシンメトリーのハチワレが生まれる確率は全体の20%未満にとどまる」と証言されています。さらに、歴史的に「ブリティッシュブルー」と呼ばれる青灰色の単色(ソリッド)が長らく至高とされてきた経緯があり、単色同士の交配を主軸に置く伝統的なキャッテリーが多いことも、市場における流通数の少なさに直結しています。