誤嚥性肺炎の死亡率はなぜ高いのか?余命と最期の兆候、看取りの現実

誤嚥性肺炎の死亡率はなぜ高いのか?余命と最期の兆候、看取りの現実

誤嚥性肺炎の死亡率はなぜ高いのか?余命と最期の兆候、看取りの現実に関する疑問を徹底的にまとめました。最新データをチェックしましょう。

読者の多くが抱く最大の疑問は、「単に食べ物や唾液が気管に入っただけで、なぜ命を落とす事態にまで発展するのか」という点に集約されます。しかし、誤嚥性肺炎の死亡率が高い理由は、健常者が経験する「むせ込み」とは次元の異なる複雑な身体的破綻に起因しています。

第1の決定打となるのが、咳反射の消失に伴う「不顕性誤嚥(サイレント・アスピレーション)」です。健康な成体であれば、気道に異物が触れた瞬間に強烈な咳払いが生じ、異物を喀出します。しかし、脳血管障害の既往やパーキンソン病、認知症の進行、あるいは加齢に伴う知覚神経の変性により、サブスタンスPなどの神経伝達物質が枯渇すると、誤嚥しても一切むせなくなります。その結果、睡眠中などに口腔内の無数の常在菌(嫌気性菌など)を含んだ唾液が気管を通じて肺深部の肺胞へと静かに流入し続け、広範かつ劇症型の組織壊死を誘発します。

第2の理由は、誤嚥性肺炎で急変する理由に直結する「免疫予備能の枯渇と敗血症への移行速度」です。高齢者の肺組織は肺気腫や間質性線維化によりガス交換効率が低下していることが多く、局所の細菌感染が短時間で毛細血管から全身循環へ波及します。その結果、発熱などの典型症状が乏しいまま「昨日まで微熱程度だったのに、翌朝には意識レベルが低下し血圧が測定不能になる」という敗血症性ショックを引き起こし、多臓器不全へとなだれ込むのです。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。